良かったなこれは
普段からエンタメに触れたり、広い意味で何かを演じるということはどういうことなのか考えたりしてる人にとってはかなり刺さると思う。
「初として生きてねぇから初として死ねねぇんだ」
なんか娯楽的な面白さを期待してた人にとっては微妙かもしれないな。
普通に歌舞伎を見に行きたくなった。これは生で見たらすごく感動しそう。
一人の人生を味わう感覚はすごく重い
「あのばあさん、いやじいさんか」は面白いし、それでいてそうだよなという気持ちになる。
あの曽根崎心中のところの演技がめちゃくちゃ上手かった。感情の乗り具合がすごい。しゅんぼうが泣き出して逃げるのもわかる。
最後、しゅんぼうが曽根崎心中をやって死ぬのも美しいよな。あれどういうシチュエーションなのか全然理解できないけど、3代目がしゅんぼうの右足も壊死してきてるのをあそこで気付いたのかな。あのおじさんが「あんな風には生きられない」と言ってたのが印象的。俺はああいう風に生きたい。何かを最後まで貫きたい。
あとあの90代の人のセリフも印象的だな。「ここは美しいものが一つもないでしょう?なんかホッとするんだよね。もういいんだよと誰かに言われているようで」
その道を極めた人が言うセリフだ。
90代の人の「あんた歌舞伎が憎くて憎くてしょうがないんでしょう?それでいいの。それでもやるのが役者なの」もよかったな。宮崎駿も同じようなこと言ってた。
あと、2代目半次郎が吐血して、しゅんぼうの名前を呼んでたのも切なかったな。あのとき3代目がなんて言ってたか聞き取れなかったけど。でも心ここに在らずという感じ。
2代目が騙したあの妹が、あの幼馴染にちょっと似てたのリアルで良いね。だから別に100%後ろ盾を得るためってわけでもないんだと思っちゃった。
何かの良さがわかるがどういうことなのかとか、そもそもその良さがどうやって醸成されていくのか